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コラム:AIは人間を超えるか?画像診断

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平成最後の「月9」、横幕智裕原作の医療ドラマが始まりました。病の原因を見つけ出す縁の下のヒーロー、放射線科の医師や技師たちの活躍を描くドラマとのことですが、私はその中でもう一つのヒーロー(人間ではないが)である放射線画像診断装置や画像処理技術に見入ってしまい、最初写し出されなかった脳MRIの画像が核磁気共鳴の仕組みや画像処理技術に精通した技師によって鮮明に写し出されていくシーンにゾクゾクしてしまいました。

さて、日本にはCTやMRIといった放射線画像診断装置が人口100万人あたり約130台もあり2位アメリカの約60台を遥かに凌駕している一方、放射線医の数は人口100万人あたり約40人と医療先進国平均104人の足元にも及ばないのだそうです。そして、もし日本がAI(人工知能)を活用することによってこれらの診断系医療機器に画像診断支援といった付加価値を加えることができたなら、その国際的競争力はさらに向上し、放射線医の過重な負担も軽減できると考えられています(*1)。

AIに画像診断をさせるためには、正確な診断名と患部の位置が付与された画像(教師付画像)を何枚も見せ、ディープラーニング(深層学習)させる必要があります。脳動脈瘤の疑いがある場所を発見するAIを開発しているエルピクセル株式会社では、約1000の症例を学習データとして使い、実際にAIに脳動脈瘤の位置を特定させてそれを医師がチェックするという作業が行われており、現状のAIの脳動脈瘤を見つける能力は新人医師とベテラン医師の間くらいだそうです(*2)。読ませるデータが多ければ多いほど適切な診断を下すことができるわけですが、国内には大量の医療画像データがあるのでそれを活用すれば国際競争力という点からも強い優位性がもてるとされています。日本でも2020年までに学会を中心とした画像データベース構築を行い、2020年からは医療機器メーカーへ教師付画像データを提供してAIを活用した画像診断支援プログラムの開発をスタートさせるといった動きがあるようです(*1)。

本校の情報システム技術科でも、熊大医学部の医用画像学分野の先生に情報処理時間短縮に関する技術協力を行ったことがあります。前述ドラマの甘春医師と五十嵐技師の関係みたいですね。このように情報技術者の活躍するフィールドは益々広がっており、本校の電子・情報系学科でも画像処理技術やAIに関する数多くの卒研テーマを掲げています(*3)。21世紀に活躍する情報技術者を目指して私たちと一緒に勉強しませんか。

(*1)参考図書:ニュートン別冊「ゼロからわかる人工知能」2018年5月10発行

(*2)参考図書:ニュートン別冊「ゼロからわかる人工知能 仕事編」2019年1月5日発行

(*3)参考:本科HP「平成31年度(2019年度)卒業研究テーマ決定」2019年4月17日

(文責 : 情報システム技術科 橋本剛裕)

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