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コラム:「英語で授業する」への試み

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 先日「水銀に関する水俣条約」が平成29年(2017年)8月16日に発効されることになったというニュースが流れました。もう4年前になりますが、平成25年(2013年)10月9~11日に熊本県で「水銀に関する水俣条約外交会議」が行われた際、世界のどこにいても英語が共通言語となり、「英語で○○する」が当たり前になりつつあるのを感じたのを思い出します。

 仕事の場面では、国内企業の世界展開により、海外拠点の社員とのやりとりや取引先との交渉は英語に。学びの場面では、3か国以上の人が集まる授業や研究、学会や国際会議などでの共通言語は英語。学校でも東京オリンピックが開催される2020年には新学習指導要領が実施され、外国語活動の開始が小3へ、小5からは英語が正式教科(成績がつく教科)となり、熊本県の高校でも済々黌高校に続いて水俣高校がスーパーグローバルハイスクール(SGH)の指定を受け、活発に活動をされているようです。熊本県の国際化はすでに水俣の地から始まっていると感じます。ここ県技短で学ぶ学生の皆さんも今以上に国際化が進んだ世の中で活躍していることは間違いなく、逆に言えば英語を使った学びや体験で将来の可能性が広がり、人生が豊かになることも間違いないでしょう。

 このようななか、情報システム技術科としても、国際化にどのように向かい合っていくのか、繰り返し何度も議論を重ねてきました。

  • 4年制大では、先ず基本的な知識を日本語で身につけ、次に英語で専門領域を学ぶスキルを養うためのアカデミック英語を学び、そして例えば大学院で専門領域を英語で学ぶという段階を踏んでいる。我々情報システム技術科の教育目標は2年間で情報技術の総合力を身につけてもらうことであり、4年制大に匹敵する単位を2年間で取得しなければならない。むしろ、日本語で書かれた良い教科書、聞きなれた日本語での授業の方が目的に叶っている。
  • プログラムをコンパイルすると、エラーメッセージやワーニングメッセージが英語で表示される。多くの学生がシステムエンジニアやプログラマを目指しており、少なくともこれら英語で表示されるメッセージを読みこなせるレベルになって卒業して欲しい。
  • 最新の技術情報を入手したいとか、最新のソフトを使いたいと思ったとき、その論文やマニュアルが和訳されていないことも多くある。ネットワーク系の実習科目で英語のマニュアルを参照したり、プログラミング系の実習科目でエラーメッセージやワーニングメッセージを英語で読んだりと、毎日のアクティブラーニングの中に英語に接する機会を多く設けており、このような機会を意識的に更に増やしていくことが良い。
  • 学生さんたちの卒業後10年・20年・30年という長い人生を考えれば、情報系のみならず工学系のアカデミック英語に慣れ親しんだことが役に立つ時が来るはずだ。

 どの意見ももっともであり、正解は誰にもわからないのですが、今年度は新たに、1年前期の専門基礎科目である電気回路実習と半導体工学実習の後半で「英語で授業する」を試みることにしました。これまで何度も繰り返した議論を踏まえ、先ず入学後4~6月に基本的な知識を日本語で身に付け、短文かつ比較的平易な文章でアカデミック英語に触れられる教材を採用し、7~9月に教員も学生も十分な予習をした上で英語教材を使った実習に取り組んでいます。7月25日(火曜日)には授業公開を行い、校長・副校長・指導部長をはじめ同じ情報システム技術科の教員に授業を見ていただき、概ね肯定的なご意見をいただきました。

 実習風景

 そして、最も気になる学生の皆さんの意見はというと、下表の通り賛否両論でした。

 アンケート結果

 全てのアンケートを読み終え、

  • 英語のレベルにしても専門基礎科目としてのレベルにしても、各自の実力よりちょっと上というレベル設定になっていることが重要
  • 英語を使うからといって専門基礎科目として教えるべきことに妥協があってはならない

というメッセージを強く感じました。

 本校で学ぶ学生さんたちにとって「英語を使った学びや体験で将来の可能性が広がり、人生が豊かになることは間違いない」ということに強い信念を持ち、参観していただいた教員や学生の皆さんからのご意見をもとにチャレンジし続けたいと思います。

(文責 : 情報システム技術科 橋本剛裕)

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