コラム:古代ローマのインフラ
インフラ(インフラストラクチャー:infrastructure)とは、日本語では「社会基盤」とも訳され、電力、水道、道路、電話などの社会や生活の基盤となる構造物や仕組みを指します。 歴史上、インフラ整備で有名な国を考えるならば、真っ先に古代ローマが挙げられるでしょう。古代ローマ人は、「全ての道はローマに通ず」という言葉で有名なローマ街道をはじめとして、水道、公共浴場、公会堂、広場など数々のインフラを整備した民族で、「インフラの父」とも呼ばれています。そもそも、インフラストラクチャーとは、ラテン語で「下の」を意味する「infra」と「構造」を意味する「structura」を合成したものと言われています。しかし、これらを組み合わせた「infra structura」なるラテン語はないそうです。では古代のローマ人はインフラストラクチャーのことをどう呼んでいたかというと、彼らはそれを「moles necessarie」、日本語にするならば「必要な大事業」と呼んでいたそうです。「必要な」とは、この場合「古代ローマ社会に生きる人々にとって必要な」ということになるでしょう。その意味では、現代の「インフラストラクチャー」と用語は違えども同じ概念を指していたと言えるのではないでしょうか。 古代ローマのインフラについてもう一つ特徴的なのは、それが社会的地位の高い人々の公共心によって為されたということでしょう。それゆえ、古代ローマのインフラにはそれを着工させた人物の名がつけられているのです。例えば、アッピウス・クラウディウスが敷設させた街道はアッピア街道、ユリウス・カエサルが建設した公会堂はユリア公会堂、というように。そして、古代ローマ人はインフラには不断のメンテナンスが必要であることも知っており、新たなインフラを建設するだけでなく、元からあるインフラの修復にも熱心に取り組んでいました。しかしローマ帝国末期にはこうしたインフラを維持する力を失い、帝国は衰退に向かっていきました。 さて、時代は跳んで現代。高度情報化社会となり、コンピュータネットワークは人々の生活にとって必要なインフラ(ITインフラ)となっています。現代の情報システムには、ネットワークが不可欠です。であるならば、古代ローマ人がしていたように、コンピュータネットワークにも不断のメンテナンスが欠かせません。今IT人材が必要とされている理由の一つもここにあると思います。 情報システム技術科では、プログラミングやデータベースだけではなく、ネットワーク構築やネットワーク施工技術についても学びます。そして、各々の学生が自分の適性を見極め、自分の適性にあった進路に進めるようサポートしています。 (文責:情報システム技術科 菅原 智裕) (参考文献) 塩野七生「ローマ人の物語X すべての道はローマに通ず」新潮社
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